2.迷子事件
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シッポはどこに置いてきちゃったの?
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ペットショップから帰宅して、ヒナたちを準備しておいたカゴに移した。1週間くらいは検疫のためヤッピーとは別室に置くことにしていたので、そっと隣の部屋に連れて行った。
が、ヒナの「チュッ」というかすかな声を聞きつけ、ヤッピーは狂喜した。興奮して、「ピッ、ピッ、ピッ」と姿の見えぬ仲間をヤッピーは必死で呼び続けた。しかし、ヒナの方は他の文鳥の存在は気にならないようで平然としていた。大型インコがけたたましく鳴いているようなショップにいたのだから、そんなものか・・・。
オカメインコは、新しい46cm四方の大きなカゴに入れたが、文鳥は気が強そうなので初めから大きなカゴを与えない方がいいだろうと、通院用に買ってあったウイングキャリーでしばらく暮らしてもらうことにした。
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どうしてボクのお家はこんなに小さいのでしょうか?
ちょっと、むくれ顔 |
小さいながら、20Wの保温電球とお気に入りのブランコ、止まり木がしっかり収まってなかなか快適そうだ。2つ並んだ鳥かごの大きさがあまりに違っていて、おかしい。
ヒナは「チェリー」と命名した。
月並みだが、桜文鳥だし。
威勢のいいヒナを前に、ちょっとと可愛すぎるかなあ・・・と迷うが、女の子でありますようにとの願いをこめて決めた(この期待は3週間後、あっさり打ち砕かれる)。
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翌日、ヤッピーが引き戸のわずかな隙間を通り抜けてチェリーのところに飛んできてしまった。今までどんなにおおっぴらに開け放っていても、ヤッピーは絶対に入って来なかった部屋なのに・・・。
大騒ぎで新入りたちのカゴの周りを飛び回った後、ご対面となった。お互いに、じっと様子をうかがっている。初対面で新入りを威嚇しない文鳥はヤッピーが初めてだ。
3日目、オカメインコのサブレが新しい環境になじめず餌をほとんど食べないので、周りに他の鳥もいた方がいいだろうと、新入りたちをヤッピーのカゴの隣に移すことにした。万が一、病気を持っていたら・・・という不安はあったが、餓死させるよりはましだと思うことにした。
晴れて、チェリーにも一人前のカゴが与えられることになった。
サブレは予想外に手のかかる子で、チェリーをかまってやるひまがなかった。
チェリーは夜が弱かったので、サブレの世話が終わるころには、もう、お休みモードに入ってしまう・・・。
4日目になっても、まだ、チェリーは手に乗ってくれない。
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もっとチェリーちゃんと遊びたい!
だんだん、こちらもあせってくる。
しかし、それ以上にチェリーは我慢をし、苛立ちをつのらせていたのだ。
5日目、ついにチェリーが切れた!
隙を見てサブレのシッポに噛み付いたのだ。
サブレは「ギャーッ」と悲鳴をあげて逃げていった・・・。
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初めて手に乗ってくれました。体重は25g |
自分が格上(と本人は思っている)なのに、サブレの方が優遇されて、いつも後回しにされている・・・よほど不満だったのだろう。
チェリーは、一気にうっぷんをはらした。
「ボクだってごちそうが欲しいんだもん!」とばかりに、サブレがもらっていた大粒の麻の実や麦にかぶりついた。本当に皮をむいて食べているから驚きだ。
満足すると、自分からひざに乗り、手にも乗ってきて甘がみをした。本当はずっと、甘えたかったのだろう。
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冒険大好き! |
6日目の朝、事件は起こった。
その日、早出する予定だった私は、いつもより早く起きて、あわただしくお世話にかかった。
鳥たち全員を放鳥し、鳥かごの掃除を始めた。敷き紙を交換しようと、紙を持ち上げた瞬間、チェリーが驚いて飛んで行ってしまった。それまでは、飛んでもそんなに遠くへ行くことはなかったし、すぐに戻ってきていたので、飛んだ方向だけ確認して、そのまま作業を続けてしまった。
ふと気付くと、チェリーの姿がない。
名前を呼びながら、飛んで行った方を捜した。・・・いない。
ヤッピーも一緒に呼んでくれるが、返事がない。
絶対に外には出られないはずだが、複雑な間取りがわざわいした。洗面所の方へ飛んで行ったが、その先のドアをくぐればどの部屋にも行けるようになっていた。
必死で家中を捜した。通気のため少し開けてあった押入れの中までくまなく捜した。
いない、いない、いない!
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どうして、もっと早く見つけてくれなかったの?
怖かったんだよ!
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3月の末、ヒナにとってはかなり寒いはずだ。
早く見つけてやらないと・・・。
もう、半ベソで、パニックを起こしかけていた。
1時間30分後、チェリーは風呂場で発見された。
何度も捜したはずの場所だったが、黒い大理石模様の中に溶け込んで、見えなかったのだ。
彼は、ずっと、そこで固まっていたのだ。
ヒナのこの絶妙な色合いは、自然界では大いに役立つのであろうが、まことに飼い主泣かせだ。
かくして、早出はパーに・・・・。休まずにすんだだけでも良かったと自分を慰めつつ、出勤した。
夜、雷の中を帰宅すると、朝のことが相当ショックだったらしく、チェリーはまるで元気がない。
サブレにケンカを売られても、押されっぱなしだ。
・・・チェリーちゃん、どうしちゃったの?
*************** この続きは、通院の記録「トリコモナス」へ ***************
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